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時評「カジカのつぶやき」(5)
古沢 襄
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現代史懇話会の雑誌「史(ふみ)」111号が届いた。そこに国弘正雄さんが「どこまでも付いて行きます下駄の雪」という表題の一文を書いていた。参議院議員だったこともある国弘さんは三木首相のブレーンの一人だったが、正直にいって政治家としての印象は薄い。私が三木派を担当していなかったためであろう。
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しかし稀にみる堪能な英語力を駆使したアメリカの知識人との交友の広さでは当代随一ではなかろうか。とくに亡くなったマンスフィールド元駐日米大使との交友は知られている。「下駄の雪」はブッシュに追随する小泉首相を皮肉ったもの。返す刀でイギリスのブレア首相も「ブッシュの愛犬」と斬り捨てられている。
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国弘さんにはお会いしたことがないが、「史(ふみ)」109号に書いた拙文「胸は祖国におき、眼は世界に注ぐ」で平沢和重さんの碑文のことを書いたら、それを読んだ国弘さんが平沢夫人の朝子さんにコピーを届けて頂いていた。碑は岩手県の沢内村にある平沢家の菩提寺・玉泉寺の庭園に建立されている。十数年ぶりに玉泉寺を訪問した朝子夫人から丁重なお礼の書状が届いた。昨年の十月中旬のことである。
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国弘さんの表題は面白可笑しいものだが、内容はアメリカ通だけにイラク侵攻に血道をあげるブッシュ政権に対して知識層がかなり批判的になっている国内事情を詳しく紹介している。ブッシュ支持率60%、イラク攻撃賛成50%の世論調査とは違う世界がかいまみえる。「今も昔もアメリカは戦争中毒に罹っている」という内部告発の漫画本やブッシュを彷彿とさせる「アホでマヌケなアメリカ白人」「だからアメリカは嫌われる」の自己批判書が次々と紹介されていて参考になる。知日派でコロンビア大学の教授であるジェラルド・カーテイスは「ユニラテラリズム(一国主義)と先制攻撃ドクトリンこそが、アメリカの新しい外交方針の特質」と警告しているという。
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2001年の9・11米中枢同時テロ以来、「ネオコン」と称するネオコンサバテイブが台頭してきたが、富と武力を背景に新たな国際秩序を模索している代表株はウルフォウイッツ国防副長官ら。これにチェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官らキリスト教原理主義者と合体した「超右派」の動きが顕在化している。
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イラク攻撃という局面だけで切れば「超右派」のリードで事が運ぶのであろう。しかし底流にはアメリカの良識が健在であって、徐々に多数派を形成していくことが予測できる。ましてやアメリカで台頭してきた「ネオコン」がイスラエルのシャロン政権と手を結んで中東に新たな秩序を確立する動きにでれば、アメリカの知識層から猛反撃を受けるのではないか。
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この動きは日本にとっても他人事ではない。イラクの次の目標とされている北朝鮮に対しても「ユニラテラリズムと先制攻撃ドクトリン」が適用されたらどうなるであろうか。日本や韓国の立場は、核を持ったアメリカの抑止力を背景にして、瀬戸際外交に入った北朝鮮に譲歩を迫ろうというものだ。抑止力が攻撃力に転化することは日本も韓国も望んでいない。日米韓三カ国の連携は、その線上にある。北朝鮮問題は「どこまでも付いて行きます下駄の雪」では困る。
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とはいえイラク問題をめぐる国連のドタバタ劇をみるにつけ、国連外交には一定の限界があることが実証された。フランスの拒否権行使では問題の根本的な解決にはならぬことも明らかになった。北朝鮮問題のボールを国連に投げても同じ繰り返しになるだろう。
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ここはやはり日米韓三国と中ロ二国の五カ国で北朝鮮に圧力をかけるしか道はない様に思う。それにしては川口外相では荷が重過ぎる。重量級の外相を起用して、まず中ロ二国との外交交渉を一日でも早くスタートさせるべきであろう。共同通信社が15、16両日実施した全国電話世論調査によると、小泉内閣の支持率は41・3%。2001年4月の政権発足以来の最低を記録している。経済無策の批判が大きい反映と思うがが、外交面での国民の苛立ちも見逃せない。とりあえず内閣改造で一から出直すことが焦眉の急となったのではなかろうか。
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