原口国連演説の真実
渡部亮次郎
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外務省での秘書官当時、役所側から出ていた秘書官の二人が連続して国連大使になった。その中で2003年2月18日の安保理事会で対イラク姿勢に関し公然と米英の強硬姿勢に同意を表明した日本大使原口幸市氏は、鈴木善幸内閣の時の外相秘書官を一緒にやった仲だ。
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勿論、この演説について新聞論評はああだこうだと言っているが実はこれは小泉首相、川口外相、福田官房長官ら首脳が綿密な打ち合わせをした上で「強行」したものであり、与党たる公明党が強い不満を表明することは織り込み済みなのである。公明党は後門の創価学会婦人部に抱き付かれれば、この問題で政府・自民党寄りの態度表明が確然とはできなくなることを予め読んだものである。
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しかも原口大使の表明については、いみじくも朝日新聞特派員が「大使は読み上げた」と表現したように、本国政府からの指示をそのまま世界に発表したものである以上、これはもはや「公約」であり、取り消しはできない。肝腎の小泉首相も福田官房長官も、いまだに言を左右しているが、矢は既に弦を放たれたのである。今後は、米英がイラクを爆撃すれば日本はそれを支持する国となるのである。要するにテロをやる連中とは話し合いは無駄だと言う選択をしたのである。
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くどくいえば、国会で民主党など野党はこれから、けしからんと厳しく追及するだろう。また与党内でも公明党が一番なんのかんのというだろう。これに対して政府首脳はぬらりくらりと言いぬけようとするかも知れない。しかしそれらはすべていわば演技に過ぎない。すべては18日の原口演説で終わっているのである。
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そういう「国会での建前」と「国連での本音」の使い分けこそが日本だ、ということを知っていて了解しているのがアーミテージ国務副長官である。ブッシュ大統領にそのあたりを十分説明し、安堵させている筈である。私は彼がクリントン政権時代で閑な時にワシントンで3日も一緒に話したり酒を飲んだりして話した仲であるから、よく判る。半端な知日派ではない。
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折悪しく北朝鮮問題が急を告げている。テポドンに日本が単独で対処できるはずがない。日米安保条約によって、アメリカに防衛してもらう以外に方法がない。それなのに、イラクに対するアメリカの行き方は余りに逸っていて乱暴で、よくないと言ったところで反対は出来ない。諫言にも限度がある。
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こんなことになるから、日本外務省の中には底流として戦後も常に再軍備派が存在する。OBの中には自主防衛と引き換えに経済発展を選択した先輩・吉田茂を公然とけなす者までいる。また、実は岸信介首相こそは吉田路線を自主防衛に戻そうとしたのだと今こそ岸再評価をせよと主張する人もいる。従ってこの際、北朝鮮を軍事的にアメリカが叩いた方が中国もロシアも本心では喜ぶ筈だ、と分析するOBもいる。
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このように原口演説には意味深長な外務省の底の流れと言うものがあるように思う。決して党人派の考えた戦術ではなく、それこそ久々にプロの考えた外交戦略とみるべきである。
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10年前の湾岸戦争の時、外務省の中近東アフリカ局長(当時)は「アメリカは絶対にイラクを攻撃しない」と言ったので、私は講演で「絶対、開戦する」と断言した。その局長は東南アジアの専門家で中東やアメリカには全然詳しくない人なのに我(が)の強い面子の人だから判って居るふりをして世論に迎合せざるを得ないのだと感じたからである。その伝でいけば今回、日本外務省は相当、ハラを括っているように思う。
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私はこれまでどこでも言ってきたようにアメリカの人間は中東とかイスラムを知らなすぎる。目には目を歯には歯を、とか仲間のために死ねば神になる、なんてことはキリスト教にはない。日本人がやった神風特攻隊も玉砕も考えられない。だからこそ湾岸戦争は失敗してテロをし掛けられ舐められているのである。しかし今此処で腕組みをしてかんがえてもらってもなんにもならない。考えていたらまた負ける。