書評 「日本人の百年戦争」    宮崎正弘


<<坂本大典『日本人の百年戦争』(展転社)>>

この本はペリー来航以来、日本が戦ってきた外圧、とくに薩英戦争、馬関戦争を経て、初の対外戦争である日清・日露、そして第一次世界大戦から満州事変、日支事変から大東亜戦争へといたる、まさに「百年」の戦争を活写する。

本書はやや分厚いので読みかけて、しばらく休憩していた。おりしも朝日新聞の誤報訂正という『大事件』がおきた。

評者(宮崎正弘)は突如、この本に出てくる下記の記述を思い出したのだった。

「1941年の御前会議で、ABCD包囲の影響をもろに受けた日本は、同盟国ドイツが独ソ戦争を開始したにもかかわらず、ソ満国境への兵の配備を行わずに、石油や資源を求めて南方へ進出する『帝国国策遂行要領』を決定した。

この決定をゾルゲは、日本の協力者で同じくコミンテルンのスパイであり近衛文麿内閣の側近でもあった、尾崎秀美、西園寺公一から報告を受けた。ゾルゲはその情報を10月4日にモスクワへ送った。

ソ連はこの貴重な情報で、日本がソ満国境から攻撃してくることはないと判断して、兵力をモスクワへむかわせる」のである。(中略)「尾崎は、ソ連コミンテルンの戦略である日中戦争(日支事変)を泥沼化させるために、『朝日新聞』や『中央公論』などを使って自らの主張を述べた。

中国との和平交渉に反対し、中国との徹底抗戦を強く唱え、日本の疲弊と消耗を企み、ソ連コミンテルンや中国共産党、共産主義の台頭やアメリカなどが利する活動に協力していた」

やがて捜査の結果、「逮捕された尾崎や西園寺がコミンテルンのスパイであることを知った近衛首相は驚愕した。まさに脇の甘い内閣であった」(224p)

いま、同様な陰謀が進んでいるのではないか?

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