発動されなかったOP5027の危機    古沢襄


1994年(平成6年)五月の朝鮮半島危機は断片的に伝えられてはいるが、真相は軍事機密なので分からない。

ドン・オ-バードーファーの「二つのコリア」は五月十九日にホワイハウスでクリントン大統領にぺりー国防長官らが朝鮮半島で戦争が勃発する危機について公式説明を行ったとしている。

この戦闘準備に関しては1995年1月26日の米上院軍事委員会でのペリー証言で明確となった。OP5027といわれた秘密軍事作戦は発動されなかったので、いまでも秘密のヴェールに包まれている部分が多いが、概略は次のようなものだったとされている。

朝鮮半島の東海岸・元山沖にブルーリッジを旗艦としキテイホーク、インデイペンデンスなど四隻の空母機動部隊を中心に100隻にのぼる大艦隊を集結する。

狙いは元山上陸作戦を支援する空母攻撃機によって北朝鮮軍に打撃を与えることにあった。元山上陸部隊は米海兵隊二個師団、韓国海兵第一師団、米陸軍機甲一個師団。元山制圧後は西に向かって平壌との中間にある谷山(こくさん)の攻略だったという。

谷山は北朝鮮軍にとって戦略的な要衝であって二つの空軍基地、重装備の戦車師団が配置されている。一方で米韓軍は三八度線を越えて北上して元山上陸部隊と合流する作戦だったとされている。

OP5027に参加する韓国軍の首脳は極秘ながら作戦目的を知っていたが、日本の羽田政権は全く知らなかった。ドン・オ-バードーファーは「危機発生当時、長期支配を続けていた自民党が分裂して政権の座から離れ、羽田首相の八党連立内閣は崩壊寸前だった」と回顧している。

しかし旗艦ブルーリッジは元山沖に向かう前に函館港に入港している。ソウル駐在の日本大使館も詳細は分からないまでも異変に気がつかない筈はない。第二次朝鮮戦争が勃発したら、朝鮮半島から避難民が九州に殺到し、混乱するのは避けられない。

幸いにしてOP5027が発動されなかったから良かったものの危機管理能力を失った政権では目前の情報をキャッチして国民の安全を守る能力に欠ける好例となった。危機は忘れた頃に起こると思わねばならない。

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